革についてのあれこれ
革について、知ってみませんか?
当工房では、長く付き合うことのできる相棒をお届けするため、
素材である革も、こだわりを持って選んでいます。
しかし、普通の人はそんなに革のことに詳しくありません。
(私も造り手になる前は、牛か馬か…くらいしか気にしてませんでした。)
せっかくなので、貴方も奥深い革の世界を覗いてみませんか?
革と皮
皮革(ひかく)って、いいますよね。
皮も革も、どちらも「かわ」ですが、何か違うのでしょうか?
実は、ちゃんと区別して使われています。
皮:
動物の皮膚です。動物からはぎ取ったものは、皮とよばれます。
防腐処理されていないので、そのままだと腐りますし、乾くとカッチカチになります。
毛が残っている毛皮も含めて、剥いだそのままの状態では鞄や小物の素材にすることはできないのです。
革:
上記の「皮」を、鞣(なめ)したものです。皮との違いは、腐らず、柔らかいこと。
つまり、素材の状態に加工された皮が、革なのです。
ではついでに。「鞣(なめ)す」ってどういうことでしょう?
鞣(なめ)すとは?
皮を薬剤に漬けて、腐ったり固まったりするたんぱく質を別の成分に置換する。
それが鞣しの原理です。口で言うのは簡単ですが、職人技なので簡単なものじゃありません。
革を鞣す職人さんは、タンナーさんと呼ばれ、世界各地に長い歴史を誇る有名タンナーさんがいます。
鞣しには、漬ける薬剤によって「クロムなめし」と「タンニンなめし」などがあります。
クロムなめし と タンニンなめしそれぞれの特徴を挙げます。
クロムなめし:
クロム剤という化学薬品で漬けています。
(タンニンに比べれば)短期間で鞣しが終わるため比較的安価です。
現行、出回っている革の8割以上がクロムなめしだそうです。
タンニンにくらべれば仕上がりが柔らかく、経年変化は少なめです。
タンニンなめし:
タンニン(植物のシブですね)を使って漬けている、伝統的な方法です。
仕上がりは硬めで、繊維がみっしりと締まっています。
革らしい経年変化を楽しめるのも魅力です。
クロムに比べると加工の手間がかかるため、大分割高になります。
当工房では、タンニンなめしを基本として扱っています。(ご要望によってはクロムも使いますが)
理由は、「仕上がりが硬い=箱物に向く」、「経年変化がある=共に育つ楽しみがある」からです。
別に「クロムは安物だ!」なんていうつもりはないですけどね。
クロムの方が手がかからないし、経年変化が弱めというのも裏を返せば最初の状態が長く続くということですし。
私の求める条件が、タンニンなめしの方が適していた、というだけです。
染色について
革製品は、どれも美しい染色がされていますよね。
染色方法にも種類がありまして、当工房も素材選びの際に気にしています
顔料仕上げ:
「顔料」を使用して染色した革です。「顔料」は上に塗りつけるイメージです。
均一に塗ることができ、革の表面が隠れるので、もし素材の段階で傷があったとしても目立たなくなります。
結果、原材料をそこまで厳選しなくて済む分、安価な傾向があります。
その代わり、革が本来持っていた模様や、経年変化が分かりにくくなります。
染料仕上げ:
「染料」を使用して染色した革です。
「染料」は革に色はつけますが、表面を塗りつぶしてしまうことはありません。
そのため、革の模様や経年変化を隠さず、革らしい革を楽しむことができます。
反面、素材段階での傷も目立つため、加工の時点で良い素材を選定しなければならず、高価になりがちです。
当工房では、「革の良さを大事にしたい」、「経年変化も楽しんでもらいたい」という思いから、「染料仕上げ」を用いることが多いです。
まとめ
と、いうわけで。
革の種類のことや当工房のこだわり、少しでも伝わりましたでしょうか。
今後、革製品をお手に取られるとき、ご紹介したような視点でどういう革だろう?と思いを馳せていただけると、
違って見えるかもしれません。
素材にこだわっている分、材料費高いのはご理解ください……。(小声)